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東京にある女性のためのDV相談や支援相談。ドメスティックバイオレンス(家庭内暴力)・被害を受けた女性と子どもの支援活動をしています。

DVとは

7. カミングアウト

娘の保育園のクラスには、母子家庭や父子家庭の子どもたちが多いらしいという噂は聞いていたが、別居という中途半端な状況ではなんと言っていいのかわからないまま、保護者会などでは孤立感を感じていた。5歳児クラスになり娘が友達の家に遊びに行きたいといいはじめ、家の中に他人をいれずに生活するのも、そろそろ限界かなっと思い始めた頃5年間別居していたパートナーとの離婚が成立した。

初めてお友達の家に遊びに行くときに、同じ団地のお母さんと子供たちを送って行った帰り道「今度うちにも遊びに来てよ。うちは娘と二人だから」と勇気を出していってみた。「え~、うちもだよ」思わず立ち話に花が咲いてしまった。彼女もなかなかいい出せなくて、同じ仲間を探していたというので、意気投合仲間つくりをしようということになった。とはいっても保育園時代は、送り迎えもばらばらなかなか保護者同士は顔をあわせないまま卒園の時期を迎えてしまった。

小学校に入学した年の団地の盆踊りで、一人で子どもに付き添ってきた彼女が、退屈そうに子どもが踊るのを見ている。私も一人、思わず声をかけ再び仲間作りの話題で盛り上がった。その年のクリスマスには保育園仲間でカラオケパーティーを開いた。

その中から母子家庭5、父子家庭2、親子兄弟合わせて15人が、今年の春から携帯メールで連絡を取り合いグループで行動している。お父さんたちは大型の車を所有しているので2台で全員が乗り込める。バーベキュー、アスレチック、市民プール、etc。1年を振り返ったら1ヶ月に一度は何かのイベントをしている。最近では、勝手にメルマガなるものを携帯に送ってくれる人まででてきた。

大人の男の人に近づけなかったうちの娘も、一人のパパさんにはすかりなつき『けつアタック』をぶちかませるまでになった(笑)。父子家庭の女の子は、プールの帰りに行った銭湯で頭を洗ってあげたら、とても喜んでいた。

上の子がもう学校に行っている人に、学校の様子を教えてもらったり、男性陣は家事の手抜きや裏技を教えてもらったり、圧巻だったのは運動会だ、15人が座れるスペースを確保しお弁当も得意なものを持ち寄って、去年まで親子2人で狭いレジャーシート1枚だったのに、今年は全校中で一番目立っていた。父母参観では仕事で来られない家の子のクラスに顔を出したり、わいわいがやがやの1年はあっという間だった。

お使いをしていてもばったり会えばお互い声掛け合って、この団地に越してきて8年やっと地域に根を下ろせた感じがする。

離婚の直接の原因は男女とも、子どもが生まれてからもパートナーが大人になれなかったことから起きるさまざまなトラブルだ。私がパートナーの暴力にあい離婚後数年男性が怖かったと話すと、男性2人はヤッパリ離婚のショックで、女性が怖かったといっていたのが印象的だった。みんなで集まるようになるまで、女の人と話すことなどほとんどなくなっていたそうだ。

仕事場はもちろん男友達とは子育ての話もできない、子どもを引き取りきちんと育てている男性が、子育て仲間を作るのは女性より大変らしい。

一人のパパはグループに参加するようになってよく笑うようになったといっている。もう一人のパパは、仕事に夢中で、母親にネグレクトされていた子どもたちの状態を気づいてやれなかったと涙を流した。二人ともパートナーがどんなにヒステリックになっても、暴力は振るわなかった男性だ。

離婚という出来事から子育てに関わるようになって、仕事だけしていた頃の自分と、今の自分は別人みたいだと本人たちは語っていた。

硬く無表情だった彼らが、回を重ねるたびに本当に表情豊かになっていくのは、私も見ていてよく覚えている。日本の男性は、女性と語ることで感情を引き出してもらわないと悲しむことはもちろん、笑うこともできなくなってしまっているようだ。

それほど男性社会は弱みを見せられない競争社会になってしまっているのだろうか。

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