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東京にある女性のためのDV相談や支援相談。ドメスティックバイオレンス(家庭内暴力)・被害を受けた女性と子どもの支援活動をしています。

DVとは

3.苦悩の面接交渉(2): A子

調停にて離婚が成立した後、いよいよ面接交渉が始まるのだが、ここでまず問題になったのは相手との連絡方法だった。私の場合調停を始めるにあたり弁護士に依頼していた。弁護士費用については法律扶助協会を利用した。そして私の場合何より幸運だったことは、DVに詳しい弁護士に引き受けてもらうことができたことだった。この弁護士のおかげで、私は離婚後2年間に渡り、面接交渉のやり取りを仲介してもらうことができた。

現在日本では、例え夫から暴力を受けていようが殺されかけようが、離婚を申し立てた場合は”調停”というプロセスを踏むことになる。調停は喧嘩両成敗的な「お互いの歩み寄り」が基本概念となっており、これが後の面接交渉をとても厄介なものにしてしまう。つまり、調停で離婚が成立した場合、相手には「自分の行為が悪かった」という認識が生まれないままとなってしまうのだ。そして彼らは「こんな目に合わされたのは、お前のせいだ」と逆恨みまで始める。

私の場合の面接交渉の具体的なやり取りは次のようなものだった。【毎月相手が弁護士に希望面接日をメールで送る→このメールには、私や弁護士に対する嫌がらせめいた内容がずいぶん含まれていたようであるが、弁護士が内容をカットし、必要最小限で相手の内容を私に伝える→私が子どもたちと日程・プランについて相談し、面接日時(○時から○時までと時間も区切る)、待ち合わせ場所、行き先を決めて弁護士に返信する。このように司法に携わる第3者を仲介することは、離婚直後で相手への恐怖心が募っていた私にとっては、大きな心理的負担の軽減となった。

面接時に子どもたちだけを相手に預けることはできない。子どもたちを守ることができなくなる。そこで意を決して私が面接に同行することとした。そして弁護士にも同行を依頼した。結果からいえば、離婚後4回までは、面接日には弁護士に付き添ってもらった。しかし本当のことを言えば、私が相手と顔を合わせることは大きな心理的負担だった。いつも”怖い””会いたくない”という気持ちと戦っていた。子どもは子どもで不安そうだった。もしかしたら子ども達を無理に行かせていたのではないだろうかと、辛い気持ちにさえなる。

相手は弁護士が付き添うことを大変嫌がり、弁護士へのメールで「早く抜けろ」ということを伝えていたようだ。長い間DV環境におかれ、まだ相手への”巻き込まれ”から、自分自身や子どもたちを守ることができなかった私は、弁護士が一緒にいてくれることが本当に心強く、ありがたかった。私と子ども達だけだと、相手に何かを要求されたり、相手が自分のやりたいようにやり始めたときに、それをストップさせる術を持ち得なかっただろう。また私には、「子どもが相手に連れ去られたらどうしよう・・・」、「後をつけられて現在の居場所を知られてしまうのではないか?」という恐怖心で、それはもう気持ちがいっぱいいっぱいだった。

1回目はゲームセンター。事前プランでは昼食からのスタートであったが、待ち合わせ場所のレストランが行ってみれば改装中。おまけに相手が時間を過ぎても待ち合わせ場所に来ない。こういうときは弁護士が相手の携帯へ電話して調整してくれた。食事の席では子どもたちが私のそばに座りたがった。そこで相手の向かいに子ども達と私の3人が座るという不自然な格好(これは実は婚姻中もいつもあったことだが・・・)。弁護士は少し離れたテーブルでさりげなく様子を見ていてくれた。その後ゲームセンターに場所を移し、相手と子どもたちが一緒にゲームをしていた。私は弁護士と共に様子を見守りながら、不安な気持ちを聞いてもらったり、アドバイスをもらったりしていた。終了時間となりその場で相手とは解散。私たちは弁護士としばらく行動を共にし、相手がつけて来ていないことを確認して別れた。

2回目は水族館。以降、スケート場、科学館などが実際の面接交渉の場となったのだが、その様子ややり取りについて次回書いてみたいと思う。困難はまだまだ続く・・・。

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